THE FORMER NARA PRISON

THE FORMER NARA PRISON

[歴史]歴史的貢献

1 歴史的価値と地域貢献

明治政府により建設された五大監獄の一つでありながら、ほぼ当時のまま現存する唯一の刑務所として、旧奈良監獄の歴史的価値は大変高いと言えるでしょう。建築物としての歴史的価値のみに留まらず、更生を目指す受刑者の真摯な活動から「地元に愛される刑務所」として親しまれてきました。
施設内の理容室「若草理容室」は職員や地域住民のべ18000人が利用したという記録が残っています。また、定期的な「矯正展」の開催時には近隣から多くの方が訪れています。廃庁に伴い、長年地元で暮らす地域住民からの支持の声と、廃庁を惜しむ声が多く聞かれたことは、「刑務所」という一般的には近寄りがたいイメージを持たれがちの施設において、特筆すべき事柄です。

2 旧日本陸軍歩兵第38連隊兵舎

敷地内には多くの受刑者たちの実習場があります。そのうちの一棟は、旧日本陸軍の兵舎として使用されていたものでした。現在の奈良教育大学にあったこの建物を戦後、旧奈良監獄内に移築したものです。老朽化などの影響により廃庁後の取り壊しが決まっています。
「旧日本陸軍歩兵第38連隊兵舎」の札が残る

3 網走監獄への影響

監獄としてはもちろん、観光名所としても有名な北海道の網走監獄。1913年(大正2年)に建てられた収容棟及び中央見張所は、作りこそれんがと木造の違いはあるものの、中央に見張所を据えた「ハビランド・システム」を採用しており、構造は旧奈良監獄を参考にして施工されたことで知られています。 (参考:博物館 網走監獄)
網走監獄
博物館 網走監獄所蔵

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